軽くパニックに陥いる俺を、その根源たる男はじっと見つめてきた。
無言のまま内面の奥の奥まで覗き込もうしてくる。
まるで「観察」のような「凝視」。
こちらを縫いとめたまま離さない。
見られている俺のほうは途方もなく居心地が悪い。逃げ出したくなる。
しばらく無言の時間が流れたが、
「その覚悟は無いか…」
男は吐く息とともに呟いた。諦めたように。
「――覚悟無き者に資格など無い」
先ほどの問いかけとは一転し、その声に鋭さが加わった。
しかし何のことを言っているのかはさっぱり分からない。
戸惑う俺に、男は蔑むような刺々しい眼差しを向けた。
「お前は”ツキの守り手”を降りるべきだ、守谷俊」
凍てつくような言葉を突きつけてきた。
その言葉の意味を考える間に心がビクンと反応した。無意識に。
「何を……」
呆然と相手を見る。
頭が混乱してしまっている。
男は畳み掛けるようにさらに言葉を続けた。俺を叩きのめすように。
「お前は守り手に相応しくない」
刃物なら一刀両断するような威力があった。
俺は一瞬息を止めた。
だが一瞬後には我に返った。
しっかりしろ、と自分を叱咤する。
ここは憤慨すべきだ。反論すべきだ。
何でお前にそんな事を言われなくちゃいけないんだ、と。
「何を勝手なことを…」
「勝手で結構。俺は俺の判断でお前の存在を否定する」
相手はにべもなく言い放った。

