「…………は?」
言葉を失った。
顔も身体もそのまま固まった。
――今、何ト言イマシタカ?
思考が跳びかけた。
しばらくしてようやく気持ちを落ち着けてその質問の意味を咀嚼し、そして…。
そいつの頭を疑った。
何なんだコイツは…。大丈夫なのか?
しかし当のその相手はといえば大真面目な顔つきで俺を見ていた。
こちらに向けている錫杖が無言の威圧で答えを求めているようだった。
こっちは驚嘆のあまりに返す言葉が出てこない。
そんな質問に答えられるわけが無い。
「……なっ…な…な…」
「な」しか出てこねぇ…。
しかし男の表情はちっとも変わらない。
「どうなんだ?答えよ」
さらに続ける。
「心から月村明月を愛しているか?お前の全てを捧げてでも守り抜く覚悟はあるのか?」
歯の浮いた質問を恥ずかしげもなく重ねて浴びせてくる。
この男は一体どんな常識の中で生きているのだろうか。全く把握できない。何故そんな質問をしてくるのか、も。
(…お…俺が…アカツキのことを……)
顔色一つ変えないその男とは対照的に、俺の顔は自分でも分かるほどに熱くなっていた。
真っ赤になりながら、何か言い返したいのに言葉にならず口をぱくぱくさせ…。
傍から見ればまさしく金魚のように見えたに違いない。
「…い、いいきなり…なな何を…言い出すんだ…」
やっと出てきたのは、どもりまくったそんな言葉だった。

