どすん、とどこかへ身体が落下した。
とりあえずは”どこか”にはたどり着けたみたいだ。
「…あてててて」
派手に打ち付けた腰をさする。
よく分からないまま周囲を見回す。
草が伸び放題の地面。
横には建物の壁。反対側には木と金網の柵。
それらの情報から一つの場所を割り出す。
――武道館の裏か…。
そして探すまでも無く、すぐ傍に人の気配が有った。
「シュン?!」
驚いたようなアカツキの声。
呆然と立ち尽くすアカツキがそこに居た。
こっちとしては俺のほうが驚きだ。
……何でここにアカツキが?!
「これは…」
息を呑んで呟く声。
アカツキの隣に立つ見知らぬ男……ではなかった。知っている。
「お前は…」
黒スーツ、端正な顔立ち。そしてその鋭い視線…。
心当たりが有った。
男は表情を変えないまま、
「――逢うのは今日2度目だな。あの時は人目があったから控えておいた…」
怜悧な口調で律儀にもそう説明した。
……今日2度目。
そうだ。クラスの喫茶で会った男――その男に違いなかった。
なぜここにこの男が居るのだろう。
それもアカツキと一緒に……。
状況を整理しようと頭を働かせる。
「…あの場所では無理だと判断し、お前達の後を尾けさせて貰った。お前が無防備になる時を見計らっていた」
地面に腰をつけたままの俺を見下ろし、男は自分のペースで言葉を続ける。
初めて話しかけてくるには、えらく態度が高圧的だ。人の後を尾けておいて。
いや。初めてではなかったか…。

