静寂の次に感じたのは違和感だった。
……おかしい。
確かに周りは静かだったが、こんなにも音が無いのはおかしい。
ぽっかり空いた空洞の中に一人置かれているような錯覚に陥る。
あまりに静かすぎる。
ざわりと不安が全身を撫でていった。
辺りの暗闇がそのまま体の中に入っていき侵食していくよう。
居ても立ってもいられなくなり、再び走り出した。
走って走って闇雲に走り回る。
それなのに何にもぶち当たらず、誰にも遭遇しない。
不安がさらに不安をかき立てていき、際限無い不安に呑まれる。
「…くそっ。何なんだ」
広がるばかりの暗闇が忌々しい。
空間全てが滞っている。
まるで時間も空気の流れも途切れてしまったみたいだ。
アカツキはどこに?
焦る。
その時グラリと地面が揺れた。
「うわっ」
次の瞬間、目が廻った。
ぐるりと地面が一回転したような気がした。
まるで天と地がひっくり返ったような感覚。
辺りが暗闇なのでさらに状況がつかめない。
空間が縮んで伸びて歪んで…。
その中へと吸い込まれていく。
ふわりとした浮遊感が身体を包んだ。
為すすべも無く、身だけ放り出される。
「わわわわっっ」
ひぃぃ。目が廻る……はれれ。
――そしてやがて、
どこかへとすり抜けた。

