歩いているとアカツキが唐突に立ち止まった。
「あのさ…」
「何だよ?」
「手がベチョベチョで気持ち悪ぃんだけど」
「…えっ?!」
言われて慌てて握っていた手を離した。手汗がエライことになっていた。
「ご、ごめん」
ガクリと肩を落とす。
さっきから俺は何してんだろ…。
喚いたり、アカツキの手を握り締めてたり、さらには手汗でベチョベチョにしたり。
情けなくてカッコ悪すぎて…。
無性に自分が恥ずかしくなる。
アカツキに呆れられて軽蔑されたって仕方ないこのザマ。
とほほ…とみじめな気分で落ち込んだ。
「…別にいいぞ」
アカツキは汗だくな俺の手を構わず掴んだ。
「無理に連れ込んだのは私のほうだからな」
決まり悪そうにアカツキが言う。
…えっ、と握ってきたその手を見た。いいのか?
「その代わり勝手に先へ進むなよ」
「………」
それは保障しかねるな…と黙り込む。
「…それより何だか後ろから誰かがついて来ている気がするんだが…」
「こ、怖いこと言うなよ…」
言いながらそれには俺も気づいていた。
あまりに怖いので意識の外へ置こうとしていたんだが…。
進む先にぼんやりと灯っている灯火。
その光に照らされて――、
「…あわわわばばばっ」
「落ち着け。単なる人形だ」
棚の上に日本人形が置かれていた。
長い黒髪に白い顔…。
見ているだけでぞぞぞっと寒気が襲ってくる。
ガタッッ。
「ひっ」
その首がもげ、ごろりとこちらへ転げ落ちてきた。
もう恐怖で何も見えない。
「ひぃゃゃゃぁぁ!!」
そちらを一顧だにせず、一目散で逃げた。

