ぼんやりと明るい前方からしくしくとすすり泣く声が聞こえてくる。
効果音としては抜群で、既に俺は恐怖で縮み上がっていた。
…しかしそこを通り過ぎないと先へは進めない。
ゆらりと影が立ち上がり、行き先を阻む。
「――お皿が一枚足りな~い」
ゆっくりとこちらを振り返ろうとし、
「う~ら~め~し~や~~」
言い終わるか否かというタイミングで、全力でその脇をすり抜けた。
「ひぃひぃ…はぁはぁ…」
肩で息をする。
…ふぅ。何とかギリギリ顔を拝まなくて済んだぜ。
後からアカツキが追いかけてくる。
「てめっ勝手に先へ行くな!怖がりすぎだろ!」
「……お前は平気なのか?」
「ああ。だってさっきのも先輩だったし」
平然とアカツキは答える。
さすが顔まで確認してるとは…余裕だな。
「……あれはっ」
脇に木の箱が置かれていた。
「絶対中から何か出てくるぞ!気をつけとけよ!」
「うるせー」
…パタッ。
予測通りその蓋が開いた。
中からぬぅんと頭が出てきて、続いて長い首がくねくねと出てくる。ろくろ首だ。
「うぎゃぁぁぁ!!!」
今度はその斜め前方から三角の物体が妙な足取りで近づいてくる。
「…かさささかかかかかさささ傘がっ!!」
「噛みすぎだ。単なる唐傘だって」
隣をケンケンしながら唐傘が通り過ぎていく。
「……お前、本当にこういうのダメなんだな」
「だから最初からそう言ってるじゃん…」
よれよれにしぼみつつ、そう答えた。

