そういえば…、
いつも俺を苛めてきてはこういう悪戯っぽい顔で笑ってたよな…。
しかもロクな事をされた思い出がないし。
「…ああいう場所は心臓に悪いんだよ。
長生きしたいからお前が2周してきてくれね?俺の分も兼ねて」
「ふん。誰が行ってやるか」
当然のように断ってきた。
俺に対する態度はホントぞんざいだよな…。
「んな事ぐらいで寿命縮まらねーよ」
相変わらず笑ったままでアカツキは言う。
その子供っぽい笑みを見て、ふと気づく。
…さてはこいつ、俺の反応を見て楽しんでるな。性悪め。
って、
いつの間にやら講堂が目前に…。げげっ。
「いやいや縮まるって。長生きできねーっ」
「…大げさな」
アカツキが俺の首根っこを掴んで引き摺る。
俺は必死で拒否る。
「大げさじゃねぇよ。ホント心拍数が凄い事になるからマジで。嘘探知機が壊れる的な。もうマジ嘘八百~みたいなっ。ヤバイから!」
パニくるあまりに言葉が支離滅裂。
「――2人だ」
アカツキは俺を無視して受付の女の子に言ってる。
「はい2名様ですね。順路に沿って進んで下さいね。今空いてますので詰まる事はないと思います」
「ありがと。ほら行くぞ馬鹿」
「…無理って言ってんだろっ」
力無い声で言い返す。
…やべ。泣きそうになってきた。
「しょうがねぇ奴…」
呆れたその呟きとともに、手を掴まれた。
「ほら。こうしてりゃ大丈夫だろ」
俺の方を見て笑う。
けれど優しい笑顔じゃなくて、あの苛めっコの頃のような性質の悪そうな笑顔。
それでも心臓がブレたかのように鼓動が揺れた感じがした。
顔に熱が広がる。
こいつもこういうふうにして笑えば結構可愛いのに……。
「行くぞ」
グイッと握られた手を引っ張られる。
その先の暗闇から呻き声のような音が漏れて聞こえた。
背筋を這う悪寒。
「って、やっぱ怖い怖い怖いっ!!」
「往生際悪ぃ奴だな。さっさと歩け」
その後ろで受付の女の子が微笑ましそうに俺達を見送っていたのは……気のせいに違いない。

