「よく知ってんのな」
半分呆れ、半分感心しながら言った。
「当たり前だ。
同級生のしかも可愛い子となればほとんど頭に入ってる」
サトシは少し得意げに笑った。
「んで、その白石さんがどうかしたか?」
「どんな子なのかなって思って」
昨日初めて会ったばかりでいきなりヘビーな家庭内の事情は聞かされたが、学校での彼女のことについては全く知らない。
俺は異性には疎いほうだった。
するとサトシは例によってニヤニヤ笑いを浮かべた。
「何?お前。もしかして月村から白石さんに乗り換えるつもりなのか?」
こいつは何を勘違いしているんだろう。
乗り換えるも何も、アカツキと俺はそういう関係じゃない。
そんな俺の心中を知らない馬鹿はさらに続けた。
「やめとけ。あの子は狙わないほうがいい」
「どういうことだよ?」
勘違いされているのは腹立たしいが、一応訊いておく。
するとサトシは若干声を潜めながら、
「身分が違いすぎるから忠告してんだ」
「…は?」
「だって、あの子さ――」
その次に続くサトシの言葉に、
俺はぶったまげることになる。
「――大金持ちの家のお嬢様って話だぜ?」

