それからしばらくは手足までもが冷え切っていたが、廊下を歩いているうちに回復した。
氷攻めに耐え抜いた俺の強靭な胃腸も特に何ともなかった。
その後は順調に紙に書かれている通りの場所を巡った。
化学部に立ち寄って液体窒素でバナナを凍らしてトンカチのようにして釘を打ったり、
3年のクラスのペットボールボウリングでストライクを連発、
映研では「保健室での××」(ちなみに全シーンに渡って衝立越しの場面)というフィルム上映を見た。感想は「酷い」の一言に尽きる。
「これで6つ制覇したな。あと一つか」
「えっ、まだ有ったっけ?」
「あるぞ。あとは講堂でやってる【戦国の呪い屋敷】だな。これを制覇して終了だ」
それを聞いて、ぎくりと心臓が跳ねた。
「…あははは。そんなの有ったっけ」
「だからあるっつってんだろ。……お前顔色悪いぞ。大丈夫か?」
ブルッと身震いした。
「いや。何か急にカキ氷の寒気が今更…うははっ」
「…そういえばお前こういうの苦手だっけ?」
俺は悟られまいと無理やり作り笑いを浮かべる。
「うははは…馬鹿言うなよ」
冷や汗を掻きつつ精一杯の虚勢を張る。
「全然苦手じゃないし。全然大丈夫だし…。
その昔、座敷童子らしき童女が棲みついているという東北の古宿で寝泊りした事だってあるんだぜぃ…」
……ちなみにそこでポルターガイストを経験して、以来トラウマになりました。
するとアカツキは「ははーん」と意味ありげに笑った。
「そういえばお前、修学旅行の肝試しも全力疾走で戻ってきたな。しかも半泣きだった」
「…ば、馬鹿っ。恥ずかしい過去をほじくり返すなっ」
「まぁ、二人なら大丈夫だろ」
「…にっ、人数とか関係ねぇんだよ。とにかくああいうドロドロ~とした雰囲気の空間がおぞましくて…」
「ふーん。そりゃ面白そうだ」
「……お…」
……面白そうだとぉ?!
「てめぇのビビる姿を眺めるのもまた一興だ」
アカツキはククッと笑いながら言う。
……何つぅ悪趣味な…。
その悪戯っぽい笑顔に、ふと幼い頃のアカツキを思い出した。

