「ちょっ、マジどーすんだコレ」
鉢の上にそそり立つ氷山を見つめて呆然と呟いた。
「私はスイカ食うから、とりあえずお前は氷を攻めろ」
「…なっ。攻めきれねぇよこれ」
難攻不落だ。どう見ても。
「っつーか、お前も食えよ」
早速スイカしか食べてないアカツキに向かって言う。
「ムリだ」
何食わぬ顔で拒絶。
「大体こんな量の氷食ったら腹壊して《ピー》になって《バキュン》《バキュン》になるぞ」
「こらっ。ちゃんと自主規制して物言え!」
本当にお前は女子高生なのか…。
「1分経過しました―」
傍に控える水着のウェイトレスさんはせかすようにそう告げた。
「何ッ?!」
「ほらっ貴重な1分が過ぎちまった。早く食えよ」
「だからお前も食えって!」
しかしそんな言い争いをしている場合ではないらしい。
そうしている間にも短い時間が刻一刻過ぎていく。
俺は腹を括り、氷山の一角を崩して、やけくそになって氷をかき込み始めた。
――数分後。
「やりましたー!6分47秒にてデラックス制覇――!!」
その声がガンガン頭に響く。すぐ傍で叫ばないで欲しい。
ギ―ンッと痛みを訴える額を押さえて、テーブルに突っ伏していた。
もう胃袋が凍っている気がする。
「すごいですね!伝説達成ですよ!」
伝説って何だろう。そんなものに挑んだ覚えはないんだが…。
「シュン、生きてるかー」
「かろうじて…」
恐るべし…デラックス…。
おぼつかない足取りで『世界で2番目に美味しいカキ氷屋さん』を後にした。

