活気と鉄板の熱さと匂いを溢れさせ、立ち並ぶ模擬店。


香ばしいソースの薫りが何とも食欲をそそる。

熱々焼きたてのはしまきと焼きソバとタコ焼きを、中庭のベンチに腰を下ろして食べた。

「はぁーっ」

背伸びをして立ち上がった。

ようやく腹八分目ぐらいになって落ち着いた感じだ。


「次はどこへ行くか?」

フォックスハントの紙を見つつ尋ねる。

すでに2つの場所を制覇した。

「2年B組のカキ氷屋はどうだ?」

「…スペシャルカキ氷を5分以内に食えっていうやつ?」

「あぁ。制限時間内に食べれたらタダらしいけど、食えなかったら法外な値段を請求されるらしいな」

タチの悪い店らしい。


それでも俺は余裕綽々に答えた。

「…はん。5分もありゃぁちょろいって」

スペシャルでも何でも来いってんだ。


そんな軽いノリというか気持ちで噂の2年B組へと向かった。

入り口には『世界で2番目に美味しいカキ氷屋さん』の立て看板。

謙虚なんだか威張ってんだかよく分からないネーミングだ。


「いらっしゃいませ」

まず、その出てきた子達を見て仰天した。

何と何との水着姿の女の子がお出迎え。

いいのかこれ。色々とマズイ気がするんだが。

何がマズイって目のやり場に困る。


「2名様でございますね」

「はい」

「カップルさまでいらっしゃいますね」

「はい……って、ええっ?!!」

そのまま流れでスルーしそうになって、すんでで慌てた。

「何言って…」

「おめでとうございまーす!!」

パパパパ――ッン!!とクラッカーの弾ける音。

目の前で紙吹雪とリボンが舞う。

そのさまを呆然と見つめる俺。


「本日7組目のカップル様のご来店ッ!!」

おぉっ!と拍手とともに、店内が湧く。


こちらは全然ついていけてない。

もう何が何だか状況がさっぱり……。


「という訳で、特別メニューのデラックスカキ氷が入りま――す!!」


ワンピースっぽい水着姿の女の子が高らかとそう叫んだ。