「何じろじろ見てんだっ」
アカツキが当り散らすように云ってきた。
「…み、見てない」
見てましたけど…。
しかしこちらも人のことを言えたもんじゃない。
顔から火が噴いているのではないかと思われるぐらいに熱い。
「今のにっ…深い意味は無い…からな…」
アカツキは普段では聞けないような歯切れの悪い口調で言った。
「…お前がふがいないのが悪い…んだ」
勝手に人のせいにし、アカツキはその赤い顔をついとそらした。
「…何で…あんな馬鹿どもぐらい追い払えねぇんだ?」
苛立ち混じりの声で訊いてくる。まだ機嫌は直ってないらしい。
「……え」
何で、って言われましても…。
「……そ…それは…」
情けない言い訳しか思い浮かばない。
「屁でもねぇだろ、あんな奴ら」
息を吐きながら言ってくる。
「大体お前はっ…」
さらにアカツキは何かを云おうとして口をつぐんだ。
言おうか言わまいか思案するような間があった後、
「……お前は…本当は強いはずだ」
語気を弱めてそう言った。
俺は思わずアカツキの横顔を見た。
朱が薄まりつつあるその顔は困惑するように歪んでいる。
いつもヘタレだの何だの言ってくる奴のセリフだとは思えなかった。
「本当はすごい強さを隠し持っている…。私は知ってる」
カーテンの隙間から細長い光が漏れ出て伸びている。
一瞬、その光が目に滲みて眩んだ。
「…あんな奴ら蹴散らすぐらい簡単だろうに」
遠く廊下の方を睨んでアカツキは呟いた。

