しかし、俺より一足先に副委員長さんがそちらへとすっ飛んでいく。
「ちょっとツッキー。お客様に向かって何てこと言ってんのよ」
アカツキの方を見てそうたしなめ、
「本当に申し訳ございません。
どうやら彼は自分の彼女が取られてしまうのではないかと勘違いしてしまったようでして。悪意はございませんので…」
深々と何度も頭を下げながら謝罪する。
しかし、その内容に「おい、ちょい待て」と物申したくなった。
……誰が彼女だって?
「お詫びといたしまして、僭越ながらこの私めが学園内を手取り足取り腕取り腰取りご案内さしあげたいなと思っている所存でございますがっっ」
妙なテンションでずずいっと相手に詰め寄っていく副委員長さん。
アカツキを庇うのにかこつけて、またも自分のペースで話を推し進めようとしていないか、この人。
「……いや」
しかし男は平然とした様子で首を振った。
「こちらが悪かったようだ。すまぬ」
席を立ち、懇切丁寧に謝ってくる。
「…ふへっ」
その予想外の反応に驚いたらしい副委員長さんが間抜けな声を出す。
男は周りを意にも介さず、背筋をピンと張ったまま席を離れる。
周囲の視線などまるで見えてないかのように。
いや。そんなものは空気と同じに感じているかのように。
颯爽と歩き出す。
俺は相手に気取られないよう、そっと伺い見た。
しかしそいつはそれに気づいたのか、その瞳を横に動かしチラッと俺の方を見た。
交差する視線。
真横を通り過ぎる瞬間――、
「――いずれ、また」
肩が風を切る音ともに、
確かに……、
そんな呟きが耳を掠め過ぎていった気がした。

