*
「うわぁ~めちゃくちゃ見られてるよ。いいなぁ」
副委員長さんが俺の方をつつきながら、ものすごく羨ましそうに云ってくる。
その通りに実際、俺は物凄く見られていた。
その主は、他ならぬ先ほどの男だ。
こうやって隅に居るときまで、変わらず熱心にその視線を注いでくる。正直怖い。
「いいなぁ。私もあんなふうに見られたいなぁ」
「………」
良ければ代わって差し上げたい。
何だかあの目は怖い。
「クールな振りして、やっぱり可愛い子が気になっちゃうんだね。そのギャップもイイわ」
隣で一人「ふむふむ」と頷いている。
その脇ですっと動く影があった。
アカツキだ。
どこへ行くんだ、と呼び止める間もなく、客席の方へと向かっていく。
真っ直ぐに一つのテーブルのもとへと歩いていく。
あの男の前へと立つ。
「――おい」
男の方はアカツキに気づき、わずかに眉間に皺を寄せ、顔を上げた。
アカツキはその相手を上から睨み、威圧する。
「てめぇ、何じろじろ見てんだよ?」
その剣呑な声は辺りに響き渡った。
室内は一瞬どよめき、そして静まり返る。
周囲の視線がその二人に集まる。
「……それが何か?」
男は、物を映し出すだけの鏡のようなその瞳でアカツキを見上げた。
その様子を見ていた俺は慌てて厨房から飛び出した。

