Fortunate Link―ツキの守り手―



「あ、あと何分ですか?」

心が折れそうになりながら副委員長さんに尋ねる。
1分1秒が耐えがたい。早く解放されたい。

「まだ30分しか経ってないわよ」

副委員長さんが暢気に答えてくれる。

「………」

疲れがさらに押し寄せてきた。

…うげっ。これでまだ半分しか経過してないのかよ。
亀を追うアルキメデスのような気分になる。

げんなりと隅のこの死角からほぼ満席の室内を見渡し、

「何か体を触ってこようとする頭のおかしな人も居るんだけど…」

「やんわり断って逃げればいいのよ」

「そうだ。そんぐらい気力と根性で耐えろ」

茶葉の量をはかって入れているアカツキも副委員長さんに乗っかって言ってきた。
アカツキはこの厨房…というか給湯室みたいな一画に詰めて、このように裏の仕事を手伝っていた。

「注文入りまーす」

そこへメイド姿の女子が入ってくる。

あーまた注文か。俺が出なきゃいけないのか。

「ねぇねぇ」

彼女は興奮気味な様子で、副委員長さんに何事かを報告した。


「今めっちゃカッコイイ男の人入ってきたんだけど!しかも一人で!」


自然と、その声は俺の耳にも届いた。


「一人で?」

興味をそそられたらしい副委員長さんが反応する。

「うん。でもそれが何かすごくいいの。メランコリックで影があるっていうのかな。黒スーツがすごく似合ってるし!」

瞳をキラキラと輝かせて彼女は語る。

俺は胡散臭く思いながら、その喋りを聞いていた。

一人で黒スーツでメランコリック?
どんなN男だよ、そいつは。