Fortunate Link―ツキの守り手―



すると白石さんは見て分かるほどに表情を強張らせた。

俯き、やがて肩がふるふると震え出す。

そのただならぬ様子に俺は焦った。

…や、やばい。
泣かせちゃった?!!


内心あたふたしていると、

彼女は蚊の鳴くような声をしぼり出した。

「…こ、今回ばかりは何が何でも勝たなきゃダメなんです…」

顔を上げて俺の方を見てくる。

潤んだ瞳の上目遣いで。


初め見た時からずっと思っていたけど、

白石さんは華奢で小柄で色白でめちゃくちゃ可愛らしい女の子だった。

清楚を絵に描いたような子で…、

云わばアカツキと真反対にいるような感じだな。


しかも今は、人形のように長いその睫毛が涙で濡れてて妙に色っぽい。

その懇願するような眼差しを真っ直ぐに向けられて
拒むことが出来る奴など居るのだろうか。いや居ない。反語。


「…駄目…ですか?」

彼女はそのウルウル目を俺に向けて訊いてくる。

そのあまりに儚げな表情に、俺は混乱に陥った。

わーわー、どうしよう。どうしよう。


「わ、分かったから泣かないで」

パニックに陥りつつも、何とかそう言った。