「っていうかお前、違う仕事じゃなかったか?」
ふと気づき、尋ねてみる。
確か、クラスの出し物である喫茶のほうを手伝っていた筈。
おそらく接客は向いて無さそうなので準備とか裏の仕事の方だろう。
朝見たときも、教室に居たのに…。
するとアカツキは腕を組み、
「この役を引き当てた子がどうしても嫌だとグズってな…。代わりに私がやるハメになった」
言って、むんと口を引き結ぶ。
当人も不本意だったろうけど、引き受けたのだろう。
そういえばアカツキは男に対してはこのように不遜な態度だが、女友達からの頼みには極端に弱い。
以前にもイベントショーの手伝いをさせられたり、よその同好会同士の対決のドッジボールに駆り出されたり…。
そんな事を思い出していると、
「……何笑ってんだ、てめぇ」
再度、アカツキの怪訝そうな瞳に睨まれていた。
我知らぬうちに頬を緩めてしまっていたらしい。全くの不覚だ。
「わ、笑ってねぇって」と何とか慌てて否定し、誤魔化す。
「そういや、何か俺に用が有ったんじゃなかったのか?」
アカツキの機嫌が悪いのを感じ取り、話題を変えた。
ここまで走って追いかけて来たからには何かあるのだろう、と推測して。
するとアカツキは相変わらず不機嫌そうな顔のまま、
「由宇が…沼津がお前を呼んでたぞ」
「…………沼津さんが?」
何で?とすぐ疑問が湧き上がった。
沼津さんといえば、わりとハキハキと物を言う元気で真面目な女の子でクラスの副委員長さんである。
よく知ってはいるけど、それほど関わりは持っていない。
「喫茶の方の人手が足りないから手伝って欲しいんだと」
訊くまでも無く、アカツキがその疑問に答えてくれた。
「俺が?」
思わず自分を指差す。
こんな格好をしてる俺まで呼び出すという事は、よほどに…猫の手を借りたいほど忙しいのだろうか。
それにしても、なぜに俺を指名してくるのかが分からない。
他に暇な男子どもならごろごろ居るだろうに。
「よく知らねぇけど、とにかく呼べっつうんだもん」
苛々しながらアカツキは答える。
まぁこっちに苛立ちをぶつけてくるのも仕方ないかな、とも思う。
要するにこいつは俺を呼ぶためにパシられた訳だもんな。
「そういう訳だから早く行け」
教室のある方角を指差し、促してきた。

