俺は慌てて身を翻して一目散に逃げた。
こっちだって命が惜しい。
だが相手も走って俺を追いすがってきた。
その足音を聞き、「ひぇ~」と思いながら逃げる。
しかしそれと同時進行で疑問も膨らんでいく。
…何で?なぜに?俺って何か悪いことしたか?目が合ったのがダメだったのか?あれって喧嘩を売ったことになるのか。…いやいやそんな馬鹿な。
取りあえずは何とか相手を撒こう。足には自信がある。
秘技・階段二段飛ばしをやってのけ、一気に相手との差を広げる。
その勢いのままに踊り場を抜け出して、
後はこの先の連絡通路を渡って、講堂の方に抜け…。
「ってあれぇ?!!」
…の筈が、まさかの行き止まり。
立ち止まらざるを得なくなる。
「嘘?」
頭を抱える。
もしかして階を間違えたのか?
おかしいな。方向は間違ってない筈。
先日はアカツキに方向音痴だの言われたが…。
断じてそうではないと自分を信じたい。
その昔、自力で青木ヶ原樹海を抜け出せたことだってある。まぁアレは車道に沿って歩いただけだったが。
「――待てコラ!」
不穏な声が後ろから追っかけてきた。
…ひぃ。待ってますとも。ってか、これ以上は進めません。
ひたすら怯えまくる俺の前で、追っかけてきたその男は立ち止まった。

