「……何なんだよ、もう」
溜息とともに呟く。
トイレの中で途方にくれていると、清掃用具入れの所に【清掃中】の札があるのを見つけた。
それを表のドアノブに引っ掛け、とりあえず用だけでも足していくことにした。
やがて用を足し、トイレからこそこそ出てきた俺は、とりあえず先ほどまでの出来事を意識の外へ放り捨てた。
奴のまともじゃない話をまともに受け止める道理など無い。ある訳が無い。
そういう訳で、渡された紙に目を通しながら廊下をあてどなく歩いていた。
「――将棋部にて、どのボードゲームでも良いので部員相手に一勝すること…」
学園祭の裏イベントともいえるこの”フォックス・ハント”。
その”狐”としてやらなきゃならん任務がそこに書かれていた。
行かねばならない場所、そしてそこでやらなければいけないことの項目は全部で7個。
無駄に多い。
ラッキーナンバーどころかむしろ七不思議並みにおぞましい「7」。まるで肝試しのよう。
……全く気が乗らない。
「――茶道部でお茶を一杯頂く」
これは7つの中でも攻略易の方だ。
白石さんから券を貰っているし、前売り券を買いに行く必要がないので、好きな時に行けばいいだろう。
「……まずはどこから攻略するか」
そこでいったん独り言を中断した。
旧校舎を抜け、いつの間にか人通りの多い渡り廊下へとやって来てしまっていたから。

