その後、俺達は何事も無かったかのように更衣室を出た。
白石さんは茶道部のお茶席の券をくれ、「昼からは私が居るから来てね」と言ってきた。
今、知ったことだけど、白石さんは茶道部に在籍しているらしい。
「それじゃあ、またあとで」と手を振り、廊下で別れた。
なるべく人目を避けるようにしながら歩き出す。
一人になると、急に先ほどまでのことがまざまざと頭の中によみがえり、懊悩した。
……あれは本当に告白だったのか。
何だかいまだ信じられない気持ちだ。
宙を歩いている感じで気分がふわふわしている。
白石さんのことだから、また俺をからかって動揺するさまを見て楽しんでいるとか…。
いや。
どう見ても先ほどの様子はふざけている様には見えなかった…。
今までに見たことの無い真剣さだった。
あの声を思い出しただけで、胸が焼きつくように熱くなる。
考えれば考えるほど…考えがこんがらがってしまう。
訳が分からなくなる。
悶々と出口の無いそれに捕らわれそうになり…。
軽く首を振って、それらを一掃した。
今ここで考えを重ねても到底答えなんて出そうにないし。
ひとまず、その事は頭の片隅に置いておこう。
それより今は今のことを考えねば…。
どうバレないように行動するか……。
あんまり人にも会いたくないしなぁ。
ふと柱の影に立ち止まり考えを巡らせる。
とりま、ここで紙に書かれている内容をチェックして行き先を…。
そう考えていると、
ゆらり、と視界の隅に影が映った気がした。
「……ふぐっ?!」
それは突然の事だった。
背後から口を覆われ、身動きを奪われた。

