数秒、数分、数十分…。
時間がどれだけ過ぎただろう。
二人っきりのこの空間では、そんな感覚さえも麻痺してしまっていた。
いつ終わるとも知れない時間の中、沈黙に耐えることしか出来ない。
しかしその時間もやがて終わりを告げた。
「ごめんね、急に」
白石さんがパッと、抱きついていたその腕を離したから。
「…こんな事言われたってまだ答えようが無いよね。分かってるよ」
横へと並んできて、つくろうような笑顔を俺に向けた。
「白石さん…」
「まだ答えてくれなくっていいの」
扉の方へと歩いていく。
その背中が何だかやけに小さい。
「シュンが…月村さんのことをどう思っているのか、その本当の答えが分かってからでいいの」
「………」
……アカツキのことを?
急にその名前を出されて戸惑う。
白石さんは扉の前まで来て振り返った。
「分かったら…その時は――、」
にこっと俺に向けて微笑む。
微笑むその笑顔がなぜか少し寂しげで。
「――今日の返事を教えてね」
俺は――、
小さく頷くことしか出来なかった。

