「……自信うんぬん以前に、ハズくて死にそうだよ」
溜息とともにうんざり呟きながら、扉の方へ向かう。
やっと彼女の手から解放される…。
その安堵ともに。
――と、
突然背後からぎゅっと腰にしがみつかれた。
ゆえに足を止めさせられ…、
「…えっ?…白石さん?」
びっくりしながらその背後の人物に声をかける。
腰に廻された両腕は、引き止めるように強く絡まっていて…。
「――好きだよ。シュン」
背中を伝ってそう声が聞こえた。
その言葉を理解するのに数秒を要した。
「……な、何言って…」
冗談だろ?と思いながら問いかける。
「――あたし、シュンのことが好き」
繰り返されたその言葉は先ほどのよりさらに真摯な響きがこもっていた。
今まで聴いた事がないような…白石さんの真剣な声。
こ、これって。どう受け取ればいいのか。
…いや。そのまま受け取ればいいのか?
ほ、本当に。
本当の本当の本当にこれは告白だというのか?
しかし、こんなシチュエーションでいきなり――って有りなのか?
誰も居ない女子更衣室で二人っきりで…。
……って。
何てこった。
場所だけを取って見れば、ばっちりそういうシチュエーションだ。
いや、でも…。
「…俺、今こーゆう格好なんだけど」
いくら何でも、相手が女装している時にそういう事はしないだろう。
そんな大事なことを言わないだろう。
そうそう。ありえないさ。
よって、これは『告白』などではない。
そう自己完結的に結論づける。
それでも……、
「――あたしはシュンのこと大好きだよ」
再び背中越しに伝わってくる声。
触れる温かいそこからじわじわと紅潮が広がっていく。
「どんな格好でも、どんなふうにでも…どうしようもないぐらいに好きなの」
熱っぽい吐息とともに、白石さんは溢れ出す何かを言葉にするように告げた。

