「あははは。ないない…そんなわけ、ないない」
ダラダラと嫌な汗を掻きつつ、手を振る。
すでに思考が異次元に飛び立とうとしていた。
だって、そんな…。
アカツキが俺のことをすきだなんて。
すきって…すきってさ…スキ…鍬……隙?
ダメだな。上手く頭の中で変換できない。
「わかってるんでしょ?本当はもう気づいてるくせにぃ」
面白がるように目を細めて。
逃避しようとしている俺をずばり見抜いてるみたいに言ってくる。
「逃げるのは無しです。はぐらかすのも無しです」
言葉で、逃げ場無く追い詰めてくる。
「アカツキさんはあなたのことが好きなんですよ。幼馴染という枠を超えて」
「だからそんなわけは…」
「本当です。アカツキさんはあなたのことが好きなんです」
突きつけるように、重ねて、強調して、云ってくる。断定的に。
「…………」
(アカツキが俺のことを…)
傍に居て、いつも、どんなふうに見て、どんなふうに想って…。
思考がその一端に触れようとするだけで、胸がじわりと締め付けられるように痛む。
と、同時に。
(……何でこいつがそんな事を)
その言葉が。その事を伝えてくるこの相手が。無性に腹が立った。
(……何でその事を”こいつ”の口から)
「……シュン君?」
相手は黙り込んだ俺を変に思ったのか、顔を覗き込んでくる。
その相手を捉え、
「――勝手なことを言うなよ」
語気を強めて反駁した。
自分でも驚くほどに攻撃的な声で。
なぜだか急に胃がむかむかしてくる。まだそんなに食べてもいないのに。
「勝手なことを言うな」
拒絶する。
そんな言葉なんていらない。受け入れられない。
本人でもない人から。
軽々しく言われることが、こんなにも許せない。

