その言葉を聞きながら、ソファーを占領しているアカツキの方を見やる。
「……寝てんのか」
「食べたらすぐにこてんと寝ちゃいましたよ。疲れてたんですかねー」
見れば、くにゃんと変な方向に首を曲げ、無防備な寝顔をさらして寝ていた。
かなり深く眠っているご様子。
「…薬でも盛ったんじゃないだろうな?」
「そんな物騒なぁ」
にっこりと浮かべるその笑顔は無邪気そのもの。
けれどこの人の笑顔は信用できない。多分。
キッチンのほうに行き、冷蔵庫を開ける。
ラップのかかった皿が二つ手前に入っていた。
電子レンジに突っ込み、温める。
そしてご飯を盛って…。
「お好み焼きをおかずに…ってあなた関西人ですか?」
「違うけど。炭水化物に炭水化物は良く合うんだよ」
「よく分かんない理屈ですけど、でもいっぱい食べる男の子っていいですよね」
ニコニコと微笑んでくる。
俺はテーブルにつきながら、その向こうで寝こけているアカツキを見た。
先ほど殴られたのが嘘かと思うほど穏やかな寝顔…。
今日に限って可愛く見えてしまうのはどういう手品なんだろ。種が知りたい。
「おんやー。見とれてるんですか?」
そんな横から、すかさず茶々を入れてくる。
「違うっ」
心の動揺を隠しながら否定。
すると彼女は悪戯っぽくにやけ「照れちゃってぇ」と絡んでくる。酔っ払いか。
「アカツキさんって言葉は乱暴ですけど何気にシュン君を気遣ってて、その素直になれないところがまたいじらしくて可愛いですよね」
「何言ってんだ」
形の崩れたタコ焼きをつまむ。
不恰好だけど一応俺に取って置いてくれたもの。確かに素直じゃない。
「むふふふぅ。あなたも素直じゃありませんねぇ」
「は?だから何なんだよ…」
口の中に広がる紅ショウガの味に顔を顰めつつ訊く。
夕月さんは両肘をつき、その上に顎を乗せながら、俺を真正面に見て笑った。
「ぶっちゃけどう思ってるんですか?アカツキさんのこと」

