** 私は、自分の親を知らない。 自分がどこで生まれたのかさえ知らない。 気づけば一人で生き、 気づけば千里眼(せんりがん)と呼ばれる存在になっていた。 或者は私のこの金色の目を「災いの目だ」「アヤカシの目だ」と疎み、 或者はこの目の力を利用しようと目論み、私を連れ去ろうとした。 私は欲深い彼らから逃れる為、一人で戦い、逃げた。 逃げて、逃げて…、気づけば山深い、どことも知れぬ場所にたどり着いた。 そこで私は“彼”と出会った。 それまでの私をすべて変えてくれた――あの人と。