「異形の血?」
俺はその言葉の意味を理解できず茫然と呟いた。
「やっぱり自覚はないか…」
そんな俺を見てにやりと笑みを浮かべて瀬川は言った。
「でも薄々気づいてるとこもあるんちゃうん?
自分がふつうではないってことに。
ほら、例えばなんで自分がアカツキちゃんの守り手なんか?とか」
「…それは……」
俺は言葉に詰まった。
それは今まで常に自分の根本にありながら、無意識下に考えることを避けてきたような気がする。
それを知ることは、自分を否定する何かに繋がるような気がして。
「それは小さい頃から母親にそう教え込まれ、戦いかたを教わってきたから?
じゃあ、なんで彼女はお前を今までそんなふうに育ててきたんか?」
矢継ぎ早に言われ、俺は言葉を失う。
なぜ瀬川がそんなことまで知っているのか。と疑問に思う余裕は今の俺にはなかった。
「それは彼女がお前の出自と本質を知り、お前自身がお前の中に流れる血に負けぬよう育てる必要があったからや。
多分、彼女だけではお前の全てを守れないと気づいてたんやろな」
瀬川はすっと目を細めた。
「なぜなら、彼女はお前の育ての親であって、産みの親ではなかったから」
「……」
何を言ってやがる。
本当はそう言ってやりたかった。
だけど心のどこかで瀬川の言ってることは正しいと感じている自分がいて、否定できなかった。
今まで母さんと思っていた人が本当の母さんではない。
そんなわけがないと叫ぶ自分と、冷静に納得して受け入れる自分。
遠く耳鳴りがした。
耳鳴りとともに、うっすら朧気な輪郭を描いて白銀の髪の女性の姿が目の前に現れた。
その人の冷たく白い手が、俺の手を優しく包むように掴んだ。
『――あなたに戦い方を教えてあげる』
それはいつか夢に見た小さい頃の記憶。
あの人は母さんじゃなく、一体誰なのか…。

