Fortunate Link―ツキの守り手―



自然と口調が尖る。
是が非でも訊き出さなければならない。そんな強い気持ちに駆られていた。


「…それを俺に訊くんはどうかと思うけど?」


ヘラッと笑っていた瀬川の口元が愉悦に歪んだ。


「……何?」


空気の質が変わるのを気配で感じた。

何かを押し込め、内包したかのような…。

張り詰めた…。


不自然に笑う奴の口が告げる。


「お前自身のことはお前自身で気づくべきなんとちゃうかな?」


その言葉とともに、張り詰めていた殺気が一気に弾けた。


「 ……っ」


全身に戦慄が走った。

先ほどまで飄々と話してた奴が――。
人とは思えないほどの凄絶な殺気を噴出させていた。


ガタンッッ!!


反射的に体が動く。

座っていたソファーを蹴り、机の上に飛び乗る。

手をシャツの襟の裏側に突っ込み、穴に指を引っかけた短い刃物――クナイをくるりと手の内で廻す。

瀬川達が編入してきてから、もしもの時に備えて、身体中に暗器を隠し持っていたのだ。

奴に肉薄すると同時に、その首筋にピタリとクナイの刃を押し付けた。
身動きすれば斬れる位置に。

それなのに相手は眉一つ動かさず、ただそこに居ただけ。

そう。
全く動いてなかったというのに…。

…俺だけが動いてしまっていた。
危険信号を発した本能に従って。

奴はそんな俺を楽しそうに見る。


「――殺気に反応して体が動くなんて…」


押し殺した笑いが漏れ出る。

「…まるで獣みたいやないか。なぁ?」

けれど何も答えられない。

「一つだけ教えたろ」

こちらの構えている武器など見えてないように、瀬川は平然とこう言った。


「お前のその身に流れてるんは、人の血だけやない。――異形の血が混じってる」