「そんな大げさな…」
俺は首を振った。
ただ運が良いという事がどうして「世界の摂理を捻じ曲げる」だとかそんなご大層な事に繋がってしまうのか。
「確かに今の話は現実離れして聞こえるかもしれへんけど…でも俺から言わしてみれば、お前の方こそ現実を見れてへんで」
「何っ?!」
その理不尽な言いぐさに反感を覚えた。
俺は普段からちゃんと地に足をつけて物事を考えているつもりだ。少なくとも目の前のこいつよりは…。
「現にお前も体験してるやん」
奴は何か確信めいた表情で俺を見てくる。
「昨日、屋上から落ちても奇跡的に無事やったんはなんでや?」
「………」
俺は色んな気持ちを込めて、相手を睨んだ。
……あの場にこいつは居なかったはずなのに…。
「あと、俺からしてみれば映画のイベントショーの時に確実にお前を狙ったはずのバズーカが不発に終わったんもおかしい。
もしかして…アカツキちゃんがそう”願った”からそういう方向にツキが働いてしまったんとちゃうかな?」
ちらりと隣のアカツキを見てみると、腕を組んだまま微動だにせず瀬川を睨んでいた。
「俺は今までアカツキちゃんのツキについてずっと調べてきた。
その結果から言わせて貰うと、さっき言った法則のみならず、物理的法則、科学的法則…色んな理(ことわり)を捻じ曲げながらツキが働いとるみたいやな」
テーブルの上にコインを転がす。
くるくる廻り、倒れ、止まった。
「その兆候は最近になるほど、より急激に顕著に見られる。
んーで俺なりにそれらの結果を鑑みた結果…」
奴はアカツキの方に目をやる。
「本人の身近で監視するべきや、という結論に至ったわけや」

