Fortunate Link―ツキの守り手―



「無限回、試行を続ける――そういう巨視的観点から見れば、この比率…即ち統計的確率が『独立試行の表の出る確率も裏の出る確率が2分の1』っていう理論的確率に近づく――これがベルヌーイさんが数学的に証明したこの『大数の法則』っていうやつやな」

俺はテレビのリモコンを取り、チャンネルを変えた。

「あっ、こら!ちゃんと話聞けや!」

「いや。こんな場所で数学の授業とかマジありえないから。マジウザイから」

これは本音。

ただでさえ数学の授業は苦手だというのに。しかも教師がチャラ男風情という…。どんな悪夢だ。


「ったく。もうちょい簡単の言葉で言うたるわ」

指の上にコインを転がしながら、言い添える。

「表が出続けたり、裏ばかりが出たり…。そういうのは微視的に見たときの偏りに過ぎへんってわけや」

そう言われてみて、やっと何とか理解に至った。

現実的に考えてみても、まんべんなくサイコロの目が出たり…ってことはあまりないもんな。

「問題はこの”偏り”やけど、ツキを持つ者っちゅうのは、その偏りを運の巡りに合わせて最初の方へと持ってこれるんやわ」

「運の巡り?」

「よぅ言うやろ?ツキが廻ってくるとか。そういう考えはオカルトじみててあんまり好きやないけど、科学的に説明がつかへんのやからしゃあない」

確かに風水じみた考えだな、とは思う。


奴はちらりとアカツキの方へと視線をよこした。


「でもアカツキちゃんのツキは――、その運の巡りから外れた働き方しとるみたいやな…」