学食に辿り着いた俺達は、
のんびりやって来たにもかかわらず、運良く席を確保でき、
しかもアカツキに至っては水曜10食限定のS定食までゲッツしていた。
だが俺の方はといえば、中華丼特盛り。
本当はカレーが食べたかったが「すみません。先ほどでちょうど切れました」って言われた。
この運の良し悪しの落差は一体全体どういうことなのだろう?
席に着いた俺は、周囲からの痛いほどの視線を感じた。
原因は大体分かっている。
学園最強女と超平凡男という奇妙な組み合わせ。
しかも二人っきり。
だが、俺はいちいちそれを気にする気は無かった。
注目するなら勝手にすればいい。俺は食う。
体は細い方だが、俺は大食漢だ。空腹は耐えられない。
「なぁ、シュン」
黙々と食する俺にアカツキが話しかけてきた。
「昨日襲ってきた奴、やっぱり普通じゃないよな?」
「…………」
口を動かしながら、何て答えようか迷った。
ごくりと飲み込んでから言った。
「俺もよく分かんね。
だから、お前も深く考えず普通にしてればいい」
「……だが…」
アカツキは眉間に皺を寄せた。
「――何かあれば俺が守るし」
そう言ってしまったあとで、急に恥ずかしさがこみ上げてきた。
昨日は勢いで言ってしまえたのに。
「………」
お互いなんとなく口を閉ざし、黙々と食べる方に戻る。
しかし、しばらくして、ふと箸を動かす手を止めた。
(……これは…)
首筋にちりっとするような視線を感じた。
朝と同じ…
興味本位だけの周囲の視線とは異なる。
――強い視線。
(……誰かがこちらを見ている)
俺は後ろを勢い良く振り返った。

