「…ふぅっ、あぶなかったわぁ…」
水で押し流し、何とか調子を取り戻したらしい。
「何か幅の広い川が見えたわ。あれはどこやったんやろ」
「…………」
立派に臨死体験までしてきたらしい。
色んな意味で大丈夫なのか。こいつ。
「…もういっぺん同じ目に遭いたくなかったらちゃんと喋れよ。
ずばり訊くけど、お前がこの学校に編入してきた理由は何だ?」
「だからアカツキちゃんを監視しとくためやって昼にも言うたやん。記憶力悪いなぁ」
「……」
…耐えろ俺。
頭の血管が浮き出るのを感じながら、言葉を続ける。
「その、監視しておく理由を訊きたいんだよ」
「だから事態がそうも言ってられへんくなったからやって言うたやん。そんぐらい覚えといてや。まだ若いのに頭大丈夫?」
余計な一言が神経を逆撫でする。
「………」
…た、耐えろよ俺。
血管がミシミシいうのを感じながら続ける。
「事態がどうなんだよ?細かい事何も訊いてねぇぞ」
「んーそやな。まぁ簡単に言えば、アカツキちゃんのツキが”異常”やってこと」
「……異常?」
何やら不安を掻きたてる言葉だ。
「うん。まぁ、説明すんのはちょっとめんどいけど」
チャラ男はジャラジャラいわせながらズボンのポケットに手を突っ込む。
中身の鍵やらティッシュやらレシートやら…をテーブルにぶちまけてから、やっと…、
「――ちょっと俺の講釈に付き合ってくれるか?」
散在した中から摘み上げたそれは、どこかの国の通貨のようだった。

