「…ちょっ!マジ勘弁!」
派手なオレンジ頭――瀬川蓮がわめいている。
…あちゃー、こりゃあ見事に関節決まっちゃってるねぇ。
俺は冷静沈着に傍観。
「…痴話喧嘩じゃねぇよ」
アカツキの目が据わっている。
「分かった!分かったから!」
必死に許しを請うている。
「…俺が言ってた部室の場所が分からへんのやろ?」
「シュンの方向音痴のせいでこんな所に来てしまっただけだ」
…何っ?と思ったが、あながち嘘ではないので否定できない。
「まぁまぁ…。俺が案内するで。あの辺、磁場が狂ってるから分かりにくいねん」
瀬川が宥めるように口を出す。
しかし磁場って何だ?この学校に異次元空間なんて存在したか。
「…あぁん?何言ってやがる?」
眉間に皺を寄せるアカツキ。
捻り上げる力にさらに力がこもったようで、瀬川は再び悲鳴を上げた。
「折れる!折れる!今何かミシッって言ったし!」
それはそれはご愁傷様で。同情はしないけどな。
だが、その悲鳴の合間を縫って奴はこう言った。
「…でも例の話、聞きにきたんやろ?」
その言葉にアカツキがピクリと反応し、動きを止める。
「…ちっ」
舌打ちとともに、腕を捻り上げていた手を乱暴に離した。
「…………ほんま手加減せぇへんなぁ」
魔の手から解放され、奴は痛そうに肘を擦っていた。
しかしすぐに立ち直り、くるりと踵を返しながら、こちらを見た。
「…ついておいでや」
隣のアカツキの苛立ちを肌にびんびん感じつつ、しかし大人しくそれに付き従った。

