委員長の説明はなおも続く。
本人もかったるげだ。
「怪しい人を疑って掛かるのがこのゲームの醍醐味ですが、むやみやたらに誰も彼をも”キツネ”だと追求することはやめて下さい、ということらしいです。もし当て間違えた場合にはきっついペナルティが待ってますので」
「……ペナルティって?」
訊き返す男子に、委員長は少し真面目な口ぶりになって答える。
「聞くところによれば、屋上から自分の恥ずかしい過去を叫ぶとか、学校脇のどぶ川を一年間掃除し続けるとか、させられるらしいです」
…確かにそれはきつい。
何となくみんな黙り込んだ。
「…まぁ、そんなに気にすること無いさ」
そう割って言い出したのは窓際に立っている担任。
「どうせ大体すぐバレちゃうんだよ。後夜祭に出るのは毎年生徒会だけ」
投げやりな口調で言う。
ますます勝負の意味の無い行事だ。
どうして廃止にならないのだろう。
「でも何せ”名物”らしいからねぇ」
遠くを見る担任は諦めきった様子で呟いていた。
「…んじゃあ、誰か代表に立候補とか推薦とかありませんか?」
一通り説明を終えた委員長が口を開いた。
・・・・・
教室内には空々しいほどの沈黙が降りた。
誰も手を挙げないし、どことなく目をそらしてあらぬ方を向いている。
「あぁヤダな。推薦なんかしたら一生恨むぜ」と一様に思っているんだろうな。俺も同感。
誰かお調子者がやってくれないかな、と期待を込めてオレンジ頭の方を見てみた。
だが瀬川は思いっきり机の上でスカーと気持ちよさそうに爆睡中だった。
本当に調子の良い奴…。
委員長はそんなクラスの面々を見回し、
「どうやら誰も居ないようなので、公平にクジ引きで決めたいと思います」
最初から予想していたかのように、アルミ缶で作った容器を出してきた。
クラスの決め事となると登場するアイテム。
そういえば、これで学級役員も決めたんだっけ。
何にせよ、クジ引きか…。
男子の中から一人だけだ。当たりっこない。むしろ当たる確率のほうが極めて低い。
と考えて思い出す事があった。
……昨日と今朝の占い。
『最下位』という重い結果が脳裏に不吉によぎった。

