「……何ッッ?!!」
一方、こっちは暢気でいられない。
「…くそっ。誰かの悪戯か?!」
そうだとしたら何て悪質な。
ということは俺と白石さんがここに入っていくのを見られてた?
しかし参ったぞ。
出入り口はここオンリー。
天井付近の通風孔など、子供すら出入りが出来ないような小ささだ。
「いっそ大声で呼ぶか。扉をガンガン叩くか」
扉の方に伸ばそうとした手を、白石さんがやんわりと制した。
「そんな事しない方がいいよ。晒し者になりたいの?」
そう言われてグッと詰まる。
「でもどうやって出れば…」
「大丈夫。その内、犯人が開けてくれるよ」
「…そんな悠長な」
開けてくれなかったらどうするんだ。
「いいじゃん。ここなら邪魔が入ること無く二人っきり」
言って、また俺の腕を掴んで奥へと引っ張っていく。
「二人っきりって…」
戸惑う間もなく…。
いきなりドンと突き飛ばされた。
「ぬあっ?!」
突然のことに間抜けな声を上げてしまった。
積み上げられている体操用のマットの上に背中から倒れこんだ。
その上から何か覆いかぶさってくる気配を感じる。
「――ねぇ。シュン」
白石さんが身を乗せてくる。
体をよじりながら重心を移動させ、密着させてくる。
俺はその下に押し倒されている格好だ。
妖しげな色香を漂わせて…。
すぐ鼻先へと。
「――月村さんじゃなくて私にしときなよ」

