「…そっか。
それなら場所を変えて、話をしよっか」
そう言うと、白石さんは女子と男子を分断しているネットをめくり、何食わぬ顔でこちら側へやって来た。
「…え?!」
すぐ傍へやって来た彼女を見て驚く。
しかし白石さんはその驚嘆を制するように口の前に人差し指を突き立てて笑い、俺の腕を引っ張った。
「お、おい」
戸惑うこちらなどお構い無しで、ぐいぐい引っ張っていく。
壁を伝うように、体育館の隅へ移動。
体育用具が収納されている薄暗い部屋に入っていく。
「ちょっ、何を…」
白石さんは押し込むように俺をその中に入れて、扉を閉める。
光が閉ざされ、目の前を一気に暗闇が覆う。
唯一僅かに光が差し込んでいるのは天井付近の通風孔からだけ。
その微かな光で浮かび上がる白石さんの顔は彫像のような陰影があってすごく綺麗だった。
しかし同時にその無機質な雰囲気が逆に怖くもあったけど。
「白石さん…」
「…さっきの質問だけど、単刀直入に答えるね」
一歩、俺の方に近づき、かすかに微笑んだ。
「――例の編入生だけど…。
彼女は私の姉ではないわ」

