その声に、周りの女子は蜘蛛の子を散らすように持ち場へ帰っていった。
だが白石さんだけはその場に残っていた。
「白石さんも戻った方が…」
俺がそう促すと、白石さんはじっと俺の目を見つめてきた。
「でもシュンは私に訊きたいことがあるって顔してる」
「………」
本当にこの人は色んな意味で怖いと思う。
見透かされている以上はぐらかすのもあれなので、いっそ思い切って訊いてみることにした。
「…あのさ。
昨日二年に入ってきた編入生、白石さんの姉って本当?」
「ふぅん…」
なぜか彼女は意味深な笑みを浮かべた。
「それは本人がそう言ってたのかしら?」
「……まぁ。そうだけど」
詳しい経緯は話さず、頷いた。
「へぇ。
そんなことを私に訊くってことは、どうしてもその真偽が気になるから、なのかな?」
「………」
――水波雅(ミツハミヤビ)
彼女が何者なのか――。
白石さんから見れば、それは俺にとって無関係なことに見えるかもしれない。
……だが。
『――もしかしてお前の知り合いなんじゃねーか、とちょっと思っちまった…』
今朝のアカツキの言葉がどうしても引っかかる。
「…ああ」
俺は白石さんに向かって頷いた。

