相手は真っ赤なカレーを一気にかきこみ、咀嚼してからこう答えた。
「確かに俺がここに編入してきたのにはちゃんとした理由と目的がある」
「その理由と目的とは何だよ?」
「――月村明月の観察及び監視」
さらりと奴はそう答えた。
隣のアカツキがピクリと反応する。
「……は?!何でてめぇがそんなことを?」
「アカツキちゃんのもつツキが危険だと分かってきつつあること。
そんでもって事態を看過できなくなってきつつあるっちゅうとこかな」
「危険…?」
固まる俺の方を見て、にやりと笑う。
「お前の気になってるアカツキちゃんの”ツキ”について、ちょっとは詳しく教えてやってもええで?」
「……なに?」
俺は箸を止めて、相手を睨んだ。
「気にしてんのやろ?俺が前に言ったこと」
瀬川は飄々と楽しげにふっかけてくる。
「………」
俺は知らず拳を握りしめ、箸を折りそうになっていた。
思い出したくなかった言葉が耳の奥でリフレインしたからだ。
『――お前、”ツキの守り手”のくせに何にも知らんのやな…』
しかもその言葉が、何も言い返せないほど事実だったのが悔しい。
「……シュン?」
何も知らないアカツキが少し気遣わしげに俺の方を見てくる。
向かいで、カレーを早くも食べ終えた瀬川がトレイを手に席を立つ。
「――もしも知りたいと思うんやったら、今日の放課後に奇術部の部室に来るんやな。
今回だけ特別出血大サービスちゅーことでロハで色々教えたるさかい」
そう言って、俺達の前から去って行った。

