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静寂だけがそこに在った。
音を無くした屋上に風だけが吹き抜けていく。
「……シュン」
明月は呆然とその場に立ち尽くし、俊の消えた虚空を見つめていた。
しばらくは何も考えられなかった。
いや全てが頭からぶっ飛んでいた。
これは夢だ。
そうだ。そうに違いない。
「………っ」
……それなのに。
そう思い込みたいのに。
蝕まれていく…。
この侵食されていくような喪失感は何なんだ。
まるで半身をもぎ取られたかのような。
胸糞悪ぃ…。
これが現実だというのか。
だとすれば、原因であるあの大馬鹿野郎を一発殴らないと気がすまない。
……いや。
一発で済ますものか。
十発で百発でも千発でも…気が済むまで殴ってやる。
他ならぬ私の手で…
だから、あいつがこの程度で死ぬなんてことはあってはならないんだ。
死ぬわけが無い。
今までだって、私が何度ぶちのめしてやっても、何度でも起死回生してきた。
ゴキブリ並み…いや、それ以上の生命力を持つあいつが…。

