俺はすぅと息を吸い込んだ。
「――んなの、最初から決まってる」
吐き捨てるように言い放った。
そんな答え、言うまでも無い。
答えなきゃならないのが馬鹿馬鹿しく思えるほどに、俺にとっては当たり前すぎることで。
「アカツキを守るに決まってんだろ」
そいつの目を鋭く睨み返した。
「今だってすぐにでも助けに行かなきゃいけねぇんだ」
屋上に置いてきたことを思い返す。
敵も一緒にいることを思えば気が気でない。
すると相手の視線がふっと和らいだ。
「いいでしょう」
ヒュンと何かを投げてよこしてきた。
腕を伸ばし、片手でそれを受け取る。
縄の一端だ。窓の方へと繋がっている。
「”ツキ”を守るなんて言ったら、その枝ごとへし折ってやろうかと思いましたが」
奴はさらりとトンでもない事を言いおった。
「…えぇっ?!」
何ですと?!
奴の顔を見ると笑顔に戻っているが、どうも本気だったっぽい。
「…ぉぃぉぃ」
顔の筋肉が引きつる。
っていうか、それって即ち殺人なんじゃないですかね?
そんな事したらブタ箱にぶち込まれてしまいやすぜ、姐さん。
……って誰だ、このキャラ。
それにしても”ツキ”を守ることと”アカツキ”を守ることに意味合い的にそれほどの違いがあるものなのだろうか?
まぁ何にせよ。
うっかり”ツキ”と口を滑らさなくて良かった。
使い果たしたとばかり思っていた運はまだ残っていたらしい。
今はただ、そのことに少し感謝した。

