「……アカツキ」
その頼りなげな様子と言葉にたちまち不安になった。
アカツキの母さんはアカツキが幼い頃に亡くなっているらしい。
らしい、というのは俺の母さんから聞いた話で、アカツキ本人から直接そんな話を聞いたことはない。
というか、アカツキ自身がその話題を避けているふしがあり、自分の母親のことを口に出したのもこれが初めてのことである。
だから驚きと不安がないまぜになって、なんとも言えなくなった。
アカツキのことをもっと深く知りたい。
けれど、そのことについて俺が踏み込んでいいものか。
そのせいでアカツキが傷ついたりしないか。
俺はごくりと、つばを飲み込んだ。
「…お前の母さんと同じようになるとはどういうことなんだ?
良かったら話してくれないか?」
それでも俺は知りたいと思った。
たとえその結果、事態がどう転ぶにしろ、それよりも強く、アカツキの心にもっと近づいてみたいと思った。
そこでふと、背後に違和感を感じた。
風の流れが妨げられたような、
何かが立ち塞がったような…
本能に従い、後ろを振り向く。
同時に俺達の間を切り裂くように、風切り音が割って入ってきた。

