** その時、一陣の風が雨戸をガタガタと揺らした。 燭台の上の灯火がゆらゆらと頼りなく揺れる。 薄暗闇の中。 板の間に座していた少年が身じろいだ。 「風が騒ぐな」 目を開け、呟く。 「とうとう、始まるか…」 傍に置いてあった錫杖を手にし、立ち上がる。 「……いや。 まだ、守り手は力に目覚めていないか」 少年の声に答えるように、灯火が揺らめく。 外の風はまだ止まない…。 **