「へぇ。
頑固な人かと思ってたけど、意外と素直なんや」
「私の質問に答えろ」
冷たく言い返す銀髪の女性。
「せやな」
にっと笑う。
「今日のところは、ちょっと試してみたかっただけや。
月村明月の強運とはどれほどのもんかを…」
「…アカツキの強運を?」
思わず俺が反応してしまった。
「しかし、びっくりしたわ」
愉快そうに男の目が細まる。
「まさか不発にさせられるなんてな」
……不発。
先ほどの映画のイベントショーでのあの散々なフンバズーカ騒動のことを思い出す。
あれもアカツキのツキが働いたせいだというのか。
だけどおかしい。
あの時、運が悪かったのは俺のほうで…
だとすれば、奴が俺を助けるために?!
いや、そんな筈は…。
しかし…
『シュン!』
直前にそう呼んでいた気がするのは気のせいか。
考える俺をよそに、オレンジ頭は笑ったまま
「ますます”ツキ”が危険なものやと証明されつつあるわけや…」
意味深なことを云った。
「危険?」
引っかかる言葉だった。
訊き返した俺の言葉に、逆にオレンジ頭のほうが怪訝そうに眉根を上げた。
「何や、お前。
もしかして『ツキ』イコール『ラッキー』なもんやと思っとんちゃうやろな?」
「…え?」
不覚にも声を詰まらせてしまった。
男の瞳に蔑みの色が映る。
「その反応を見る限り図星らしいな。
どうせ”ツキ”が何であるか、も今まで深く考えた事も無いんやろ。
現代っ子によくある悪い癖や」
馬鹿にした口調で、いや完全に俺を馬鹿にして男は言った。
悔しいが、ぐうの音も出ない。
「強運なんて都合のええもん、裏があるに決まってるやろ。
光あれば必ず影がある。代償は払わなあかん」
「…代償」
重く響いたその言葉を呟いていた。
「代償って何だ?」
すると相手は何が可笑しいのか、急に声を上げて笑い出した。
俺は「何だコイツ」と若干引く。
奴は「くくく…」と未だ抑えきれない笑いを口から漏らしながら
「お前、”ツキの守り手”のくせに何にも知らんのやな…」

