それは細長く鋭利な針状の刃物だった。
棒手裏剣の一種だが、重さで下向きに飛んで行かないように改造してある。
アカツキの万が一に備え、いつでもこのように携帯できる武器を持ち歩いているのだ。
俺は走ってくる奴の足元へ向けてそれら数本をいっぺんに投げつけた。
それらが庇の上の相手の足元へ刺さる直前に、奴はそれを避けるように飛びのき、庇の端を蹴り、空中へと躍り出た。
飛び降りながら、下方に居る俺へ向けて発砲してくる。
――パン、パン…
「……つっ」
とっさに体を捻ったが、左肩の表面に熱が走った。
銃弾が一発、掠めたらしい。
近距離すぎた。
「ははっ。
この距離でこいつに敵うおもちゃなんてそうそう無いやろう?」
俺は血が滲み出る傷口を押さえながら、前方を見た。
そこには容赦ない銃口が待ち構えていた。
「さぁ。この状況でお前は何に祈る?
あんたの大事な幸運の幼馴染様か?
…残念ながら今ここにはおらへんけどなぁ?」
その指が引き金へ掛かる。
俺はそれを見つめながら、ぎっと奥歯を噛みしめた。
「――お前の運なんて所詮こんなもんや」
オレンジ頭は楽しそうに身動きとれない俺を眺めて言った。
「ほな、さいなら。
不運な守り手さん」
―――パンッ
と乾いた銃声が狭い路地裏に響いた。

