そして二時間後。
「――面白かったね」
エンドロールが終わり、席を立ちながら白石さんは言った。
「あぁ。意外に面白かった…」
と、あくまで控えめに言いながら、こっそり涙の跡を隠す。
ラストでめちゃくちゃ感動してしまった。
――手と手を取り合ったダブルブラックの合体技。
そしてもう絶体絶命かと思われた時に、
6人の戦士の力が合わさって起きたあの奇跡…。
こんなに感動したのはアルマ○ドン以来だ。
俺にとって最高に充実した内容だった。
レッドのパンチラも10回近く拝めたし…。
サービス精神も旺盛だった。
外に出たところで、
「あっ、私メガネケース欲しいな」
白石さんは映画グッズの売ってるブースに立ち寄る。
一番手前に目玉とばかりに、6色のメガネケースが揃っていた。
見た目は劇中に出てきたのとまったく同じだ。
「どどめが好きだけど、色はピンクが可愛いよね~」
「あれ?白石さん、メガネ掛けてんのか?」
「掛けてないけど、見たら欲しくなるもんでしょ」
よく分からんな。
見るのは好きだが、これは欲しいとは思わん。
「ねぇ、どれがいいと思う?」
白石さんは弾んだ声で訊ねてきた。
「どれでもいいじゃねぇか」
「…むぅ。
じゃあ、私のイメージカラーは?」
「どどめっぽい」
「それって褒めてないよね?」
なぜか不服そうにする。
…どどめが好きじゃなかったのか?
「もういいっ。
シュンの好きな色を選んでよ」
「はぁ?」
「ついでに言うとそれを買って欲しい」
訳が分からない。
俺の好きな色を選んで、それを買えって?
「…記念になるじゃん」
俯きながら言ってくる。
何の記念なんだ。
よく分からないやりとりをしていると、背後からヒヤッとした冷気のようなものを感じた。
本能的に全身に怖気が走る。
この殺気には身に覚えがあった。
「イチャイチャイチャイチャ…
こんなトコで何やってんだ、シュン」
ぎこちない動きで振り返る。
そこには目つきの悪い金髪女が仁王立ちしていた。

