「………」
「…何?嫌?」
「いや。そうじゃなくて案外普通なんだなぁって思って」
…賭場にでも行くかと思ったが。
しかしそう言ってしまってから、「しまった」と自らの失言に気づいた。
白石さんはあからさまに眉根を寄せている。
「どういうこと?」
「…いや、それは…」
たじろぎつつ、言葉を継ぐ。
「俺の友達が白石さんの金銭感覚が庶民から並外れているとか何とか…言ってたから」
「…へぇ、そう」
冷ややかな声音で彼女は言う。
「そんな噂を鵜呑みにしちゃうんだ」
「そういう訳でも…」
責められているようで、困った。
窺うように相手を見る。
「…もしかして、まるっきりデマだった?」
「さぁ、どうでしょ?」
彼女は悪戯げに笑って返す。
円らな瞳もあいまって、子猫のようだった。
「ちゃんと私を見てから判断して」
そう言うと、俺の腕に腕を絡ませてきた。

