Fortunate Link―ツキの守り手―





学園からほど近い、住宅街の中にある小さな公園。

「…はむっ」

白石星羅は公園のベンチに座り、クレープにかぶりついていた。

「…いやー。ほんまちょうどバナナ切らしてたとこやったから、助かったわー」

ベンチの横の露店でクレープの生地を焼いている若い男が星羅に話し掛ける。

「そやけど、どこから仕入れてきたん?こんな大量のバナナ」

「秘密の入手ルートよ」

指についたクリームを舐めとりながら答える星羅。

「…なんやそれ。ちょっと気になるやん」

頭に巻いたタオルで汗を拭いながら、男は言う。

星羅はクレープを頬張りながら、ちらりと横目に男の方を見た。
タオルからはみ出したオレンジ色の髪が目を引く。

「…あなた、仕事は?」

「やっとるやん。今まさに」

「…クレープ焼くのが?」

「それをやりつつの、シマの見張り」

「……ふぅん。随分といろんな顔があるのね」

「そうなんかな?」

鉄板に新しい生地を流し込み、薄く伸ばしながら首を傾げる。

クレープを食べ終えた星羅が顔を上げた。


「蓮(レン)
あなた、昨日、私達と同じ船に乗っていたでしょう?」