口が勝手に動いた。
「……つまりは俺は単なる数合わせ?」
自分の傷口に塩をすり込むと分かっていて、余計なことを訊く。
感情が上手く制御できず、抑えられない。
――どうしてこんなに…。
「まぁ、そうかもな」
揺れる心の上に、ドスンと彼女のその答えが打ち落とされた。
俺の中の何かがプチンと切れた。
「そうかよッ」
包囲していたアカツキの体を突き放した。
「……シュン?」
さすがのアカツキも驚いたようにこちらを見てくる。
何でこんなにムカムカするのだろう。
何でこんなに気持ちが乱されてしまうんだろう。
「……お前にとって俺は…」
――俺は一体何なんだよ…?
その時、ふと空気の乱れを感じた。
反射的に視線をそちらへ向ける。
剛速球のテニスボールがアカツキの背後に迫っていた。
「危なっ…」
「アカツキー」
武道館の方からアカツキを呼ぶ剣道部員の声。
アカツキはそちらに反応し、わずかに横へと動いた。
彼女をかばおうとした俺の体だけは前へ。
――ドゴッ!!!!
衝撃とともに、意識が白くぶっ飛んだ。

