「はぁ~…」
もう何度目かとも知れない溜息をつき、廊下の壁に凭れた。
制服のシャツのポケットから小さく折り畳まれた紙を取り出す。
白石さんがあの…アレをしてきた際に、ポケットに入れてきたんだと思われる。
本当に色々と油断ならない相手である。
三つ折りにされた手紙は見た目可愛らしく、「読むんだにゃー」と言っている猫の口元に差し込まれた魚部分から開くようになっている。
そうっとその紙を開いて中身を読んでみる。
『果たし状
放課後、グラウンドに来られたし。
絶対来い。何が何でも来い。ショベルカーに轢かれそうになっても来い。地球を半周してでも来い』
と血文字で書かれていた。
「……怖いわ!!」
思わずその手紙を床に叩き捨てそうになった。
何?この外見と中身とのギャップ。
まるでこれの送り主そのものではないか!
「や、やめよう。うん。
これは見なかったことにしよう…」
そそくさと手紙を元通りに折り畳み、ポケットの中へとしまう。
(そ、そうだ。
…俺は何も知らない。何も受け取ってないし、何も見なかった…)
しかし、さっき見た血文字が呪いのように脳裏に焼き付いて離れない。
(…何も知らない…俺は何も見ていない…)
その後の授業の間も休み時間も、必死に自分に言い聞かせ続けた。

