俺は少し愕然としつつ、白石さんを見た。
彼女に騙されるのはこれで二度目だ。
だからというか何と言うか、わりと早く立ち直ることが出来た。
「……白石さん。
昨日のことも含め、色々訊きたいことがあるんだ」
「へぇ」
白石さんは楽しげに微笑むばかりだ。
「白石さんのことだけじゃないんだ。
ちょっとその…白石さんのお父さんのことについても」
「…ねぇ。シュン」
遮るように白石さんが口を挟んだ。
「その前にさ、シュンのこと教えてよ。
たとえばほら…、シュンのお父さんのこととか?」
「………っ」
ふいに鼓動が跳ね上がるのを感じた。
「な、なんでいきなりそんなことを訊く?」
「だってさ。
自分のことを何も話さない相手に、自分の大事なことを話すなんて何だかフェアじゃないと思わない?」
そう言ってじっと子猫のような大きな目で俺を見つめてきた。
その目はどこまで俺のことを見透かしているのか、得体が知れなくて、少し恐ろしさを覚えた。
「訊く前に自分のことを話せって言うのか?」
「その前に私への借り分を返して貰わないとね♪」
その大きな目を細めて、いたずらぽく笑う。
俺はごくりと唾を飲み込んだ。
確かに昨日、白石さんの言うことを何でも一つきくと約束してしまっていた。
それは果たさねばなるまい。
「…何をさせるつもりだ?」
「そうねえ。
私と一日デートというのはどうかしら?」

