「………」
俺は思わず言葉を失った。
「……なぁ、ファミレスのバイトの仕事内容を知ってるか?
接客だぞ、接客」
「知ってるに決まってんだろ」
アカツキは当たり前のように答えた。
「………」
「……おい。
なんで露骨に嫌そうな顔をする。なんで露骨に視線をそらす?」
アカツキがすかさず噛みついてくる。
悪いが、アカツキの接客している姿を想像するだけで鳥肌がたってしまった…。
「…だ、だって、どう考えてもお前にはムリだろ!
営業スマイルとかできんのか?『いらっしゃいませ』とか言えんのか?」
「馬鹿にすんなよ。
んなことぐらいできるに決まってんだろ」
「…だったらやってみろやい」
ここは幼馴染として、本人に出来ないことをしっかり教えてやらねばなるまい。
アカツキは「うっ」と一瞬つまりながらも持ち前の負けず嫌いの性格から降りなかった。
息を吸い込み、顰め面からそれでも何とか笑顔を作ろうと眉間や頬を痙攣させながら、
「……い…い…いらっしゃいまちつっ…」
…噛んだ。噛みよった。
「ぶふっ」
俺はこらえきれず吹き出した。
顔面の筋肉という筋肉をこんなに痙攣させて物を言う人を初めて見た。
「ぶふあはははは」
悪いと思いながらも笑いが止まらない。
……駄目だ。涙が出てきた。
「ふあはははは…はっ」
最後の「はっ」で俺の顔面はソファーに深くめり込んでいた。
「…馬鹿にすんのも大概にしろよ、てめぇ」
なぜだろう。襲いくる猛禽類の鉤爪を見た気がした。
すみません、調子に乗りすぎました、という心の謝罪は聞き届けられることは無かった。

